「スウィート・キリマンジャロ」
ペーパーフィルターを通した味は上質なカカオ豆のような香り。
香りが甘いので、あえて砂糖味を加えずにチョコレートの原石を想像しながらゆっくり味わうと、その世界に浸れる。
上級者はフレンチプレスでの抽出をおすすめする。
香りは少し遠慮気味に微笑む程度になるが、濃厚なコーヒー豆の油味を堪能できる。飲んだ感触もバン・ホーテンのココアをさらに大人向けにした(つまり甘味を取っ払った)円熟した味わいになる。
季節や時間帯は秋から冬にかけての午後の3時~5時が絶妙にはまっていて、深まる季節の情景が最高の調味料。
この味わいにこの1曲
サニーデイ・サービス「忘れてしまおう」
(1998年「愛と笑いの夜」収録)
♫ 一人飲むコーヒーは 終わったばかりの恋の味 ♫
スウィート・キリマンジャロ 加筆
「忘れてしまおう」は失恋の歌ですが、香り(実態でないもの、つまり思い出)は甘いのに、味(現実)はほろ苦く……
と、いう含みがあります。
この豆にピッタリのフレーズだと思うんですが、いかがでしょうか?