広島・立町の中の棚を歩く|街の歴史とCoffee Story

広島市中区立町にあるCoffee Story。住所を検索すると「立町」と出ますが、店のある一帯は、古くから「中の棚」と呼ばれてきました。

福屋八丁堀本店や本通からも近い、広島の中心部です。買い物の途中に通り抜けることはあっても、街の名前の由来までは知らないという方もいらっしゃるかもしれません。

Coffee Storyへお越しになるときは、少しだけ足をゆるめて、中の棚を歩いてみませんか。

目次

「中の棚」という名前の由来

中の棚は、かつて魚問屋が集まっていた場所です。昔は「うおのたな」と呼ばれ、その後、ほかにも魚市場ができたことで、三つの市場の真ん中にある「中の棚」と呼ばれるようになったそうです。

今の街並みから魚市場を想像するのは、少し難しいかもしれません。でも、何気なく使っている地名の中に、かつての街の姿が残っています。

私は以前、歴史を教える仕事をしていました。古い話を知ってから同じ道を歩くと、いつもの景色が少し違って見える。中の棚を歩く楽しさも、そこにあるように思います。

街には、中の棚の歴史を紹介するパネルも設けられています。コーヒー豆を買いに来る道すがら、目に留まったものを一つ読んでみる。そんな短い寄り道も、街歩きの楽しみです。

福屋八丁堀本店から、中の棚へ

福屋八丁堀本店は、Coffee Storyを探すときの分かりやすい目印です。福屋から金座街を南へ進み、右手側の中の棚商店街に入ります。通りを歩いていくと、中の棚稲荷神社があります。

Coffee Storyは、その神社のとなりのビルの2階。階段を上がった先に、オレンジ色の扉があります。

住所で探すなら「広島市中区立町1-12」。街の名前で探すなら「中の棚稲荷神社のとなり」。立町と中の棚は、私たちにとって同じ店の場所を表す二つの呼び方です。

稲荷神社のとなりで

中の棚稲荷神社は、江戸時代にはすでにこの場所にありました。被爆によって焼失しましたが、地域の方々の支えで再建された神社です。街の長い時間を知る場所が、私たちの店のすぐそばにあります。

Coffee Storyが開店したのは2008年。それ以来、神社のとなりで店を続けてきました。以前、神社の提灯を新しくする際には、私たちも加わらせていただきました。店だけでここに立っているのではなく、街の方々に支えられていることを感じます。

神社の境内には、かつて中の棚の道に敷かれていた赤御影石も展示されています。今歩いている道にも、それ以前の道があったのだと思うと、この街が過ごしてきた時間を少し身近に感じられます。

中の棚で、コーヒー豆を選ぶ

Coffee Storyの店内には、焙煎する前の緑色のコーヒー豆が並んでいます。初めてお越しになった方が、その色に驚かれることもあります。

たくさんの種類があると、どれを選べばよいか迷うかもしれません。でも、コーヒーに詳しくなくても大丈夫です。「苦みのあるものが好き」「いつも飲んでいるものに近い味がいい」「今日は少し違う豆を試したい」。そんなお話から、一緒に探していきます。

豆を選ぶ時間も、コーヒーの楽しみの一つです。街を歩いて店に立ち寄り、家に帰ってから、その豆で一杯を淹れる。中の棚で過ごしたひとときが、いつものコーヒーにつながれば嬉しく思います。

この街で、店を続けること

中の棚で店を開いてから、もうすぐ18年になります。

この街には長い歴史がありますが、私たちの店の時間は、毎日のお客様とのやり取りの積み重ねです。いつもの豆を買いに来られる方。初めて階段を上がって来られる方。出張販売でお会いして、立町の店を訪ねてくださる方。

それぞれの方に、家でどんなふうにコーヒーを楽しんでいただけるかを考えながら、豆をお渡ししてきました。これからも、そんな店でありたいと思っています。

広島でコーヒー豆をお探しのときは、立町の中の棚まで少し歩いてみてください。福屋八丁堀本店でのお買い物の帰りにも、お立ち寄りいただけます。

中の棚稲荷神社のとなり、2階のオレンジ色の扉の先でお待ちしています。

Coffee Story 店主 福永 高
広島市中区立町1-12 イナリビル2階

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